Live CD

Live CD/DVDとは

Live CD（ライブCD）またはLive DVD（ライブDVD）とは、ハードディスクドライブ（HDD）やソリッドステートドライブ（SSD）などの内部補助記憶装置にOSをインストールすることなく、CDやDVDといった光学メディアから直接OSを起動できるメディアのことです。これにより、システムを一時的に起動させたり、インストール前のOSを試したり、レスキューツールとして利用したりできます。

概要

通常、OSを使用するには、CDやDVDからインストーラーを起動し、HDDやSSDにOSのデータを転送する作業が必要です。しかし、Live CD/DVDは、ディスクを挿入するだけでOSが起動し、すぐに利用可能な状態になります。この時、OSはRAM（一時記憶メモリ）上で動作します。そのため、HDDを必要としません。この仕組みにより、処理速度が向上する一方で、アプリケーションが利用できるメモリ容量が減少します。したがって、Live CD/DVDを利用する際は、より多くのメモリを搭載した環境が推奨されます。

また、一部のOS（例えばPuppy Linuxなど）では、システムデータもRAMディスクに保存されるため、OS起動後はディスクドライブが不要になります。これにより、ディスクドライブが1つしかないコンピュータでも、ドライブを占有せずに利用できます。

派生

Live CD/DVDは、記録するメディアによって以下のような種類があります。これらは広義でライブCDとして扱われます。

Live CD
Live DVD
Live USB：USBメモリを起動ディスクとして利用します。ユーザーによる変更を記録できる場合もあります。
Live floppy：フロッピーディスクを起動ディスクとして利用します。MS-DOSやLinuxなどで利用されていました。

救出・修理用のLive CD

Live CD/DVDは、システムのトラブルシューティングやデータ復旧にも利用できます。以下のようなものが存在します。

SystemRescueCd：Gentoo Linuxベースで、WindowsとLinuxの修理ツールを搭載。
ikakeya linux：Vine Linuxベースのレスキュー用Live CD（β版）。
911 Rescue CD：DOSベースのWindows修理ツール集（厳密にはLive CDではない）。
UBCD (Ultimate Boot CD)：様々なシステムメンテナンスツールを収録。
treehel's FreeSTAR：UBCD派生で、Windows向けのオープンソフトを収録（ロシア語版と英語版）。

主なLive CD

様々なOSを基にしたLive CD/DVDが存在します。

Unix系OSから派生したLive CD

BSD系

NetBSD系
NetBSD：NetBSD公式イメージファイル。
NeWBIE：NetBSD系。
OpenBSD系
河豚板 (FuguIta)：Live DVDとLive USB版があり、i386/amd64/arm64に対応。
Anonym.OS：匿名Web閲覧用。
Olive BSD：軽量ウィンドウマネージャーIceWMとROX-Filerを使用。
FreeBSD系
FreeSBIE：FreeBSD系。
Frenzy mini-CD：FreeBSD系。
wipe-out：HDDデータ消去に特化。
Ging：Debian GNU/kFreeBSDベースの最初のLive CD。
DragonFly BSD
RedBSD

Linux系

Linux系のLive CDは、1CD Linuxと表記されることもあります。

Debian系
Debian Live：Debian派生。
BackTrack：侵入テストに特化（Debian系）。
Kali Linux：BackTrackの後継で侵入テストに特化（Debian系）。
Clonezilla Live：補助記憶装置のクローニング、イメージング用。
KNOPPIX：Debian系のオリジナル。
Damn Small Linux：軽量なKnoppix。
MEPIS：Debianユーザー向け。
antiX：Debian安定版派生の軽量Live CD。
MX Linux：Debian安定版派生で人気。
Morphix：GNOMEやfluxboxを使用（Debian系）。
Puppy Linux：バージョン5以降はDebian系も存在。
PureOS：自由ソフトウェアのみで構成、プライバシー重視。
sidux：Debian sid系（日本語版）。
SLAX：Slax 9からはDebian系。
Tails：プライバシーと匿名性に特化（Debian系）。
Ubuntu：Debian派生で人気。雑誌付録になることも。
dyne:bolic：マルチメディア製作・配信向け。
elementary OS : 独自のデスクトップ環境「Pantheon」を採用したMacOS風の画面。Ubuntu派生でLive起動にも対応。
Linux Mint : MATEやCinnamonの採用で見た目やソフトウェア環境を改善。Ubuntu派生とDebian派生があり、Live起動にも対応。
Voyager : Xubuntu派生で、Xfce採用のMacOS風画面。32bit版と64bit版があり、Live起動にも対応。
WindOS : Debian Squeeze派生で作られた軽量OS。
Fedora系
Fedora：Fedora Projectで開発。
Berry Linux：日本製のLive CD。
Mandriva One：MandrivaによるLive CD。
PCLinuxOS：Mandrakeによるプロジェクト。
TurboLinux：日本製（無料ライブCD版）。
Slackware系
SLAX : Slax 8まではSlackwareの派生版。モジュールと非常に簡単なリマスターを持つ。
Gentoo系
Sabayon Linux：Gentoo派生だが、カスタマイズ性は低い。
その他のLinux
Puppy Linux：軽量Live CD。データ書き戻しが可能。
Yara OSX：Puppy Linux派生で、Xfce採用のMacOS風画面。
Tiny Core Linux：非常に軽量なGUI搭載Linux。
Ophcrack：Windowsパスワード解析用。SliTaz GNU/Linux 派生。
android x86(64) : androidをpc上で動かすためのLive CD。

OpenSolaris系

SchilliX：OpenSolaris初のLive CD。
BeleniX
Nexenta
marTux

その他のUNIX系OS

Hurd：GNU HurdのLive CD。
BeOS：BeOSのCDは全てLive CDモードで動作する。ただし、PowerPCバージョンにおいては Mac OS 8による起動が必要となる。
MINIX
Plan 9 from Bell Labs：Plan 9のCDをPCで動作可能にしたもの。

Apple Macintosh OS系のLive CD

Mac OS システムフォルダ：フロッピーディスクやCD上に存在。
BootCD from Charlessoft for Mac OS X
Clone X from Tri-Edre for Mac OS X：商用製品。
PureDarwin nano：Mac OS X v10.5ベース（FreeBSD派生）。
DasBoot by SubRosaSoft.com
OSx86 (x86 only)

マイクロソフトWindows系のLive CD

Microsoft Windows Preinstallation Environment (Windows PE)：Windowsインストール用。
Windows Recovery Environment (Windows RE)：Windows障害修復用（内部的にはWindows PE）。
BartPE：Windows XP/2003ベースのLive CD作成ツール。

その他のOSを基盤としたLive CD

OpenVMS：導入CDがLive CDとして起動可能。
SkyOS
OS/2 Ecomstation Demo
TownsOS

関連項目

起動ディスク
Live USB
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